Ubuntu 18.04 LTSには、新たに「データ収集ツール」が追加されています。
「データ収集」と聞くと、不安に感じる方もいるかもしれません。そこで、このページでは「Ubuntuのデータ収集ツール」について、詳しく解説します。
どのようなデータが送信されるのか?
ユーザーが同意した場合に限り、Ubuntuをインストールしたハードウェアに関する情報、インストールしたUbuntuのバージョン、デスクトップ環境、言語といった「システム情報」がCanonical社のサーバーに送信されます。
もちろん、データの送信は暗号化通信により行われます。
また、データ中に個人を特定するような情報は含まれておらず、また送信元のIPアドレスによる個人の特定も行わないと明言されています。
なお、このようなデータ収集は他のOSでも行われています。
さらに「Google Chrome」のようなWebブラウザも、ユーザーが同意すれば各種データの送信を行います。
そのため、Ubuntuのデータ収集が特別危険であるとは言えないでしょう。
いつデータが送信されるのか?
Ubuntuのインストールもしくはアップグレードが完了した後、ログインすると初期設定アプリ(gnome-initial-setup)が起動します。
進めていくと、以下の「Ubuntuの改善を支援する」というページが出てきます。
デフォルトのまま「次へ」をクリックすると、Canonical社にデータが送信されます。
「いいえ、送信しません」を選んでから「次へ」をクリックすると、「送信を断られた」というデータのみが送信されます。
なお、データの送信はユーザーにつき1回のみです。
ただし、Ubuntu 18.10やUbuntu 20.04 LTSにアップグレードした時に、同様のダイアログで再送信するかどうかを設定することになるでしょう。
データを送信しているプログラムはどんなものか?
データを送信しているプログラムは、「ubuntu-report」という名前でソースコードが公開されています。以下の、Githubプロジェクトで参照やダウンロードが可能です。
初期設定アプリ(gnome-initial-setup)は、このソースコードに含まれる「libsysmetrics1」というライブラリを用いて、システム情報を送信しています。
「ubuntu-report」というコマンドもインストールされており、このコマンドを用いてシステム情報を送信することもできます。
$ ubuntu-report help This tool will collect and report metrics from current hardware, partition and session information. This information can't be used to identify a single machine and is presented before being sent to the server. Usage: ubuntu-report [flags] ubuntu-report [command] Available Commands: help Help about any command interactive Interactive mode, alias to running this tool without any subcommands. send Send or opt-out directly from metric reports without interactions show Only collect and display metrics without sending Flags: -f, --force collect and send new report even if already reported -h, --help help for ubuntu-report -u, --url string server url to send report to. Leave empty for default. (default "https://metrics.ubuntu.com") -v, --verbose count[=-1] issue INFO (-v) and DEBUG (-vv) output Use "ubuntu-report [command] --help" for more information about a command. $ ubuntu-report send --help Send or opt-out directly from metric reports without interactions Usage: ubuntu-report send yes|no [flags] Flags: -h, --help help for send -u, --url string server url to send report to. Leave empty for default. (default "https://metrics.ubuntu.com") Global Flags: -f, --force collect and send new report even if already reported -v, --verbose count[=-1] issue INFO (-v) and DEBUG (-vv) output
送信しているデータはどんな形式か?
データを送信すると、「~/.cache/ubuntu-report/ubuntu.18.04」が作られます。
このファイルに、送信したデータが書き込まれています。以下のような内容です。
{
"Version": "18.04",
"OEM": {
"Vendor": "innotek GmbH",
"Product": "VirtualBox"
},
"BIOS": {
"Vendor": "innotek GmbH",
"Version": "VirtualBox"
},
"CPU": [
{
"Vendor": "GenuineIntel",
"Family": "6",
"Model": "60",
"Stepping": "3"
}
],
"Arch": "amd64",
"RAM": 2,
"Partitions": [
2112.7
],
"Screens": [
{
"Resolution": "1920x1080",
"Frequency": "59.98"
}
],
"Autologin": false,
"LivePatch": false,
"Session": {
"DE": "ubuntu:GNOME",
"Name": "ubuntu",
"Type": "x11"
},
"Timezone": "Asia/Tokyo",
"Install": {
"Media": "Ubuntu 18.04 LTS \"Bionic Beaver\" - Release amd64 (20180426)",
"Type": "GTK",
"PartitionMethod": "use_device",
"DownloadUpdates": true,
"Language": "ja",
"Minimal": false,
"RestrictedAddons": true,
"Stages": {
"0": "language",
"2": "language",
"290": "console_setup",
"294": "prepare",
"303": "partman",
"309": "start_install",
"319": "timezone",
"322": "usersetup",
"344": "user_done",
"1081": "done"
}
}
}
「いいえ、送信しません」を選んだ場合、以下の内容となります。
{"OptOut": true}
まとめ
このように、Ubuntu 18.04 LTSでは、ユーザーがどのようなハードウェアに、どのようなオプションでインストールしているかが収集されるようになりました。
このデータが、今後の開発に活かされていくのでしょう。できるだけデータを送って協力するのが良さそうです。
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