Ubuntu 18.04 LTS日本語Remixリリース!本家版との違いは?【徹底比較】

5月15日、Ubuntu 18.04 LTS 日本語Remixがリリースされました。

ISOイメージファイルが、以下のミラーサイトよりダウンロードできます。

富山大学
http://cdimage-u-toyama.ubuntulinux.jp/releases/18.04/
北陸先端科学技術大学院大学
http://ftp.jaist.ac.jp/pub/Linux/ubuntu-jp-cdimage/releases/18.04/

今回も、「Ubuntu 18.04 LTS本家版」と「Ubuntu 18.04 LTS日本語Remix」の違いを詳しく調査してみました。

インストールについては、以下のページを参照してください。

以下のページでは、インストール後の基本設定を紹介しています。

結局、どちらを使えばいい?

Linux初心者の方、面倒な設定を省きたい方は、日本語RemixのISOイメージを使ったインストールがおすすめです。実際のところ、本家版と日本語Remixに大きな差異はありません。しかし、日本語RemixのISOイメージのほうが、特に日本語環境でのバグや使い勝手の悪さが解消されていることがあります。また、リリース後にそうした問題が見つかった時にも、本家に採用されるより早く修正されることがあります。できるだけ環境設定の手間を少なく、トラブルなく使えるのが第一、という方に良いでしょう。

また、ライブセッションでUbuntuを試したい、という方も日本語RemixのISOイメージを使うといいでしょう。本家版のISOには日本語の言語サポートが含まれていないので、日本語で表示できるのはごく一部です。日本語Remixは、その名の通り日本語に特化しているので、ライブセッションでもメニューなどが日本語で表示されます。

新バージョンのリリース後、すぐに試したい方は本家版ISO一択ですね。なお、本家版を入れても、Ubuntu Japanese Teamのレポジトリを入れて、「ubuntu-defaults-ja」パッケージをインストールすれば、日本語RemixのISOを入れたのと同等の環境になるはずです。なので、すでに本家版ISOからインストールしているなら、わざわざ日本語RemixのISOで再インストールする必要はありません。

大まかにどう違う?

Ubuntu Japanese Teamのパッケージがインストールされる

Ubuntu Japanese Teamの「レポジトリ」が登録されており、パッケージがインストールされるようになっています。日本語関連、あるいはその他のバグで、Japanese Teamが対策したパッケージが配布されます。

ISOイメージファイルに収録されているパッケージが異なる

「本家版」のISOイメージファイルには、言語サポートパッケージが収録されています。

  • 英語
  • ドイツ語
  • スペイン語
  • フランス語
  • イタリア語
  • ポルトガル語
  • ロシア語
  • 中国語(簡体)

残念ながら、日本語のサポートパッケージは入っていません。そのため、PCにインストールせずに使う「ライブセッション」や、インターネットに接続せずにインストールした場合は、英語と日本語が入り混じった環境になってしまいます。

対して、「日本語Remix」のISOイメージには上記の言語サポートパッケージは含まれず、「日本語」が追加されています。そのため、「ライブセッション」や、インターネットに接続せずにインストールした場合でも、日本語のサポートがひと通りインストールされます。

ISOイメージの比較

ここからは、内部的な細かい話になります。

「日本語Remix ISOイメージ」の主な変更点

ISOイメージ内ファイルを調べた限り、本家版からの主な変更点は以下の通りでした。

.disk/release_notes_url

インストーラーに表示される「リリースノート」のURLです。「日本語Remix」では日本語のリリースノートページに変更されていました。インストーラーに表示するリンクに使われるものと思われます。

casper/filesystem.squashfs

圧縮ファイルシステムです。ISOイメージでPCを起動すると、この圧縮ファイルシステムがルートディレクトリとしてマウントされ、ライブセッションが使えるようになります。日本語RemixのISOイメージには、パッケージ構成を変更した圧縮ファイルシステムが収録されています。

casper/filesystem.manifest

圧縮ファイルシステムに含まれるパッケージのリストです。前述の通り、日本語以外の言語サポートが削除され、日本語の言語サポートが入っていました。そのため、他言語のドキュメントやスペルチェック用辞書、Firefox・Thunderbird・LibreOfficeの言語関連パッケージ、中国語フォントや入力システムといったパッケージが、日本語Remixでは削除されています。代わりに、日本語関連のパッケージが追加されています。

日本語Remixで削除されているパッケージ一覧

firefox-locale-de
firefox-locale-en
firefox-locale-es
firefox-locale-fr
firefox-locale-it
firefox-locale-pt
firefox-locale-ru
firefox-locale-zh-hans
fonts-arphic-ukai
fonts-arphic-uming
gnome-getting-started-docs-de
gnome-getting-started-docs-es
gnome-getting-started-docs-fr
gnome-getting-started-docs-it
gnome-getting-started-docs-pt
gnome-getting-started-docs-ru
gnome-user-docs-de
gnome-user-docs-es
gnome-user-docs-fr
gnome-user-docs-it
gnome-user-docs-pt
gnome-user-docs-ru
gnome-user-docs-zh-hans
hunspell-de-at-frami
hunspell-de-ch-frami
hunspell-de-de-frami
hunspell-en-au
hunspell-en-ca
hunspell-en-gb
hunspell-en-us
hunspell-en-za
hunspell-es
hunspell-fr
hunspell-it
hunspell-pt-br
hunspell-pt-pt
hunspell-ru
hyphen-de
hyphen-en-ca
hyphen-en-gb
hyphen-en-us
hyphen-fr
hyphen-it
hyphen-pt-br
hyphen-pt-pt
hyphen-ru
ibus-libpinyin
ibus-table-wubi
language-pack-de
language-pack-de-base
language-pack-en
language-pack-en-base
language-pack-es
language-pack-es-base
language-pack-fr
language-pack-fr-base
language-pack-gnome-de
language-pack-gnome-de-base
language-pack-gnome-en
language-pack-gnome-en-base
language-pack-gnome-es
language-pack-gnome-es-base
language-pack-gnome-fr
language-pack-gnome-fr-base
language-pack-gnome-it
language-pack-gnome-it-base
language-pack-gnome-pt
language-pack-gnome-pt-base
language-pack-gnome-ru
language-pack-gnome-ru-base
language-pack-gnome-zh-hans
language-pack-gnome-zh-hans-base
language-pack-it
language-pack-it-base
language-pack-pt
language-pack-pt-base
language-pack-ru
language-pack-ru-base
language-pack-zh-hans
language-pack-zh-hans-base
libreoffice-help-de
libreoffice-help-en-gb
libreoffice-help-en-us
libreoffice-help-es
libreoffice-help-fr
libreoffice-help-it
libreoffice-help-pt
libreoffice-help-pt-br
libreoffice-help-ru
libreoffice-help-zh-cn
libreoffice-l10n-de
libreoffice-l10n-en-gb
libreoffice-l10n-en-za
libreoffice-l10n-es
libreoffice-l10n-fr
libreoffice-l10n-it
libreoffice-l10n-pt
libreoffice-l10n-pt-br
libreoffice-l10n-ru
libreoffice-l10n-zh-cn
mythes-de
mythes-de-ch
mythes-en-au
mythes-en-us
mythes-fr
mythes-it
mythes-pt-pt
mythes-ru
thunderbird-locale-de
thunderbird-locale-en
thunderbird-locale-en-gb
thunderbird-locale-en-us
thunderbird-locale-es
thunderbird-locale-es-ar
thunderbird-locale-es-es
thunderbird-locale-fr
thunderbird-locale-it
thunderbird-locale-pt
thunderbird-locale-pt-br
thunderbird-locale-pt-pt
thunderbird-locale-ru
thunderbird-locale-zh-cn
thunderbird-locale-zh-hans
wamerican
wbrazilian
wbritish
wfrench
witalian
wngerman
wogerman
wportuguese
wspanish
wswiss

日本語Remixで追加されているパッケージ一覧

firefox-locale-ja
fonts-noto-cjk-extra
gnome-getting-started-docs-ja
gnome-user-docs-ja
language-pack-gnome-ja
language-pack-gnome-ja-base
language-pack-ja
language-pack-ja-base
libreoffice-help-ja
libreoffice-l10n-ja
thunderbird-locale-ja
ubuntu-defaults-ja

Ubuntu 18.04 LTSでは、デフォルトの日本語フォントが「Takaoフォント」から「Notoフォント」に変わったので、Takaoフォントは追加されなくなっています。

日本語Remixで変更されているパッケージ一覧

language-selector-common
language-selector-gnome
ubiquity
ubiquity-frontend-gtk
ubiquity-ubuntu-artwork

casper/filesystem.manifest-remove

ISOイメージには含まれているものの、PCへのインストールからは除外するパッケージのリストです。パッケージの追加と削除にあわせて、こちらも変更されています。

casper/filesystem.manifest-minimal-remove

「最小インストール」を選択した時に削除されるパッケージのリストです。日本語Remixでは以下のパッケージが追加されています。

libreoffice-help-ja
libreoffice-l10n-ja
thunderbird-locale-ja

boot/grub/grub.cfg

カーネルオプションに、インストーラーに日本語を指定する設定、日本語キーボードを指定する設定が追加されています。grubですので、UEFIで起動した時に使われるようです。以下に、一部抜粋します。

本家版

linux   /casper/vmlinuz  file=/cdrom/preseed/ubuntu.seed boot=casper quiet splash ---

日本語Remix

linux   /casper/vmlinuz  file=/cdrom/preseed/ubuntu.seed boot=casper quiet splash --- debian-installer/language=ja keyboard-configuration/layoutcode?=jp keyboard-configuration/modelcode?=jp106

isolinux/langlist

BIOS起動で使われるISOLINUXの言語リストです。本家版では多数の言語が記載されていますが、日本語Remixでは「ja」だけになっています。

isolinux/lang

ISOLINUXのデフォルト言語を設定するファイルのようです。本家版には存在せず、日本語Remixでは「ja」が記載されています。

preseed/ubuntu.seed

日本語Remixでは、言語やキーボードレイアウトを設定する、以下の行が追加されています。

d-i     debian-installer/language       string  ja
d-i     keyboard-configuration/layoutcode       string  jp
d-i     keyboard-configuration/modelcode        string  jp106

ライブセッションの比較

ISOファイルからライブセッションを起動した環境を比較します。

まずは本家版です。「日本語」を選んでも、以下のように大半が英語になります。日本語の入力は可能でした。インターネットに接続した状態でPCへインストールすれば、日本語化されます。

日本語Remixだと、ライブセッションも以下のように日本語表示になります。

なお、日本語Remixでは、パッケージのダウンロードを「メインサーバー」ではなく「日本のサーバー」から行うよう変更されています(/etc/apt/sources.list)。この変更により、ライブセッションにパッケージを追加して試す場合、より高速にダウンロードできます。

インストール後の比較

インターネットに接続した状態で「日本語」を選択してインストールすれば、本家版にも日本語のパッケージが導入され、日本語Remixと大きな違いはなくなります。ただし、日本語RemixのISOからインストールした環境には、「/etc/apt/sources.list.d/ubuntu-ja.list」が配置されます。このファイルには、Ubuntu Japanese Teamのレポジトリ情報が設定されています。

また、日本語Remixでは初回ログイン時の入力ソースのデフォルトが「日本語 (Mozc」になります。これにより、「半角/全角」キーを押すだけで日本語入力が開始できます。
これは、「/usr/share/glib-2.0/schemas/20_ubuntu-defaults-ja.gschema.override」で設定されています。

双方で「言語サポート」を開き、言語サポートを完全にインストールした状態で比較したところ、日本語Remixからインストールした環境には、以下のパッケージが追加されていました。

ubuntu-defaults-ja
日本語Remixのデフォルト設定を含むパッケージ。unzipの日本語ファイル名文字化け対策ファイル(/etc/profile.d/unzip-default-charset.sh)もこのパッケージに含まれている。